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学年首位の座
恋をするとギュン!と胸が締め付けられると聞いたけど、私には関係のない話だ。
高校三年間学年首位をキープする。
それだけが私の目標。
ところが、これまでずっと最下位争いをしてきたような男子生徒に学年首位を奪われたのだ。
(よりによってアイツなんかに…)
見たくなくても自然と目につく赤い髪。
つい校則を確認した程たくさんあるピアス。
目が合うと逸せない鋭い目。
笑うと見えるニ本の八重歯。
頼んでもないのに手を上げてくれたクラス委員。
全員分のノートを軽々と持ってくれた逞しい腕。
家に帰っても、勉強をしていても、
どうにも顔がチラついて集中出来なかった。
テストが上手くいかなかったのは自分のせいだけど、
アイツ、本当は出来るくせに今まで本気じゃなかったんだ。
悔しくて悔しくて、アイツの顔を見かけた瞬間もう止まらなかった。
早歩きで近づきアイツが気づいてもさらに詰め寄る。
「今まで手を抜いてた訳?だったら許さない!」
鋭い目が段々と見開き、頬が髪の毛と同じ色になり、
今まで見た事がない顔をした。
「好きになった女に認められたかっただけだ!」
「!!!!!!」
ギュン!
聞いていた話となんら遜色はなかった。
初めて感じる愛おしい胸の締め付けに、私の顔もアイツの髪色と同じになった。
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