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通過儀礼
「おーい、車をまわせ」
ダリウスの怒鳴り声に、リセははっとして顔を上げた。
駐車場の通用口で、
ダリウスが女性を抱き、片手を上げてリセに合図を送った。
その、<お持ち帰りの>女性は、
黒髪が豊かに波打つ、大柄でグラマラスなタイプ。
リセの容姿と対極にある・・といっていいだろう。
リセは二人に頭を下げて、車の後部ドアを開けた。
ダリウスも、女性もリセをまったくリセを無視して車に乗りこんだ。
「ホテルに戻ります」
リセが声をかけて、車を発進させた。
時折、バックミラー越しに二人が見える。
「ふっ・・・う」
後部座席で、何回も繰り返されるディープキス・・・
女性のつけている香水だろう・・
車内に強く充満して香る。
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