通過儀礼

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リセは極力後ろを見ないように、前方に集中した。 そして思った。 これは鬼系の護衛は、絶対に無理だ。 リセは人選に苦慮していた、自分の恩師の顔を思い浮かべた。 鬼系は基本、護衛に向いている。 力もあり、戦闘能力も高い。 しかし、性欲が強い。 このように見せつけられたら・・・ 判断も狂うだろう。 その時、ミラー越しにダリウスの視線を感じた。 リセを見て、ニヤリと笑っているような気がした。 ホテルの駐車場に着くと、リセはすぐに車を降りた。 エレベーターを呼ぶために、走ってホールへ向かわねばならない。 リセの仕事は、二人が部屋に入れば終了になる。 エレベーター内でも、キスは繰り返されていた。 リセはボタン操作のため、二人に背中を向けていたが・・・ 心は<あと少し>と、カウントダウンの数値がチカチカ光っていた。 エレベーターが最上階につくと、リセはエレベーターの扉を軽く抑え 「どうぞ・・」 と声をかけた。 二人は部屋に入るのか・・・と、思いきや、 扉の前で抱き合ってまた、ディープキスが始まった。
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