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ダリウスの手は女性の腰に、もう片方は豊かな胸に当てられている。
女性の片足は、ダリウスの足に絡みついていた。
<ああ、もう!!!
なぜ・・部屋にはいらないのか!!!!!>
もう少しなのに、
なんで目の前で<こんなの>を見せつけられるのか・・・
普段はあまり、感情の起伏を見せないようにしているリセだが・・・
さすがに疲れもでていたのだろう・・・
二人を自分の視界に入らないように、少しだけ体の向きを変えた時だった。
ヒュン・・・ツ、ドッ
ナイフがリセの頬の脇ギリギリで通り過ぎて、廊下の壁に刺さった。
リセは息を呑み・・凍りついた。
ダリウスはリセを睨み付けていた。
「俺を見ろ!」
ダリウスが命令した。
その瞳は、金色の中に炎が燃え上がるような煌めき。
ダリウスは女性から離れて、
リセのすぐ脇に刺さっているナイフを壁から引き抜いた。
「仕事をさぼるな!!」
そう言い放つと、
ダリウスは部屋に入り、女性もその後に続いた。
バタン・・・
ドアが閉まった。
リセは壁に背をつけたまま、ずるずると崩れ落ちた。
<これはダリウス流、通過儀礼・・
もしくは試験なのだ>
合格なのか不合格なのか・・
明日、結果発表されるのだろう。
リセはようやく立ち上がり、警護担当者へ引継ぎの連絡をした。
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