遊園地

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遊園地

リセは指定された時間に、ホテルの駐車場で待っていた。 今日はパーティではないらしい。 出て来たダリウスは、フード付きのパーカーの上にカジュアルジャケット、 下はジーンズ、白の革のスニーカーという、 どこにでもいそうな青年のようだった。 でも、黒いサングラスをかけている。 いつもの通り、ダリウスは後部座席に座った。 「どちらに行かれますか?」 リセが聞くと、ダリウスは珍しく考え込んでいたが 「遊園地だ」 「わかりました」 リセも、いつもと同じように答えた。 しかし、リセの脳内はフル回転していた。 一人で遊園地に行くのはおかしい、何か意図があるはずだ。 それとも、誰かが来ていて、合流するのか・・・ とにかく、注意をしなくてはならない。 遊園地は人が多い。 ダリウスにまかれたら・・ 人混みに紛れてしまったら、探すことは困難だ。 リセの予想どおり、遊園地は多くの人で賑わっていた。 ダリウスは身長があるので、歩幅が大きい。 小柄なリセは、ついて行くので必死になってしまう。 見失ったら困る!!! 「ダリウス様・・!!」 リセがいつもより大きな声で・・叫ぶように 「手をつないでください!!」 ダリウスは振り返り・・・ まったく驚いたようにリセの顔を見た。
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