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「ダリウス様・・私はボート、漕いだことはありませんっ・・」
リセは立ち止まろうとしたが、ダリウスに強く引っ張られてしまった。
「バカ・・俺がやるから安心しろ」
ダリウスはリセの手を離すと、ボート屋の親父に金を払っていた。
そうして先にボートに乗り込んでしまった。
「早く来い!」
ダリウスは大きな声で呼んだ。
護衛は・・
いかねばならない。拒否権はない。
リセは・・・
そろそろとボートの縁に足をかけた。
なにしろ、生まれてからこの方、ボートなんか乗ったことがない。
それでもダリウスが手を取ってくれたので、何とか座る事ができた。
ダリウスがゆっくりとオールを操作して、漕ぎ始めた。
ボートが滑るように進んでいく。
リセは揺れるのが怖くて、ボートの縁を握りしめていた。
魔女は・・泳いだ事がなかった。
水の中で魔力をどの程度、使うことができるのだろうか・・
リセは考えを巡らしていた。
「リセ・・突き落としたりしないから、安心しろ」
ダリウスはからかうように声をかけた。
「はい・・」
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