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風が吹くと、その痕跡をゆっくりと残していく。
ようやく、リセにも余裕が出て、正面のダリウスを見る事ができた。
サングラスの彼は・・
なぜか楽しそうに見えた。
湖の中央までくると、ダリウスはオールを動かす手を止めた。
湖の中央は・・静かだった。
「リセ・・俺の事をどのくらい知っているのだ?」
ダリウスが問いかけた。
サングラスで、視線の動きがわからない。
リセは、教師の質問に答える生徒のように
「引き継ぎ書にはいろいろ書かれていましたが・・
そうでない所もわかりました」
「そうでないとは・・?」
「ダリウス様は読書家で、とても勉強をなさっています。」
「その根拠は?」
「ベッドの下に、本が山ほど積んでありました
バーナムの魔術書は高等魔術の本ですし、
哲学や幾何学も多いように見えました」
「いつ、知った?」
リセは少し口ごもったが
「ダリウス様のベッドで休ませていただいた時・・
ベッド脇で靴を取った時に本が見えました」
「他には?」
ダリウスも、口頭試問する面接官のように聞いた。
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