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リセの事情
コンコン
軽いノックの音がした。
「入ってくれ」
補佐官が声をかけた。
「失礼します」
入ってきたのは、黒髪の小柄な痩せた魔女だった。
貧血ぎみの白い肌と、瞳は茶色だが、少し緑が入っている。
定番の老女ではなく、まだ若葉が芽吹く前の小枝のような少女に見えた。
はつらつとは程遠い・・暗い印象だった。
しかし、その容姿に似合わず、強い意志と落ち着きが
その瞳には宿っている。
気真面目そうに黒い髪を後ろで束ねて、
魔女の正装の黒いローブを着用して入室してきた。
補佐官はリセを見ると、笑顔で
「よく来てくれたね、リセ、元気だったかい?」
「はい、先生・・御無沙汰しております」
リセは丁寧に答えた。
「体の調子はどうかね・・相変わらずかな?」
リセは少しうつむいて、困ったように
「はい・・みなさんにご迷惑をおかけするので、
今月でここを退職する予定なのです・・」
「そうか・・君のように優秀な人材は・・・残念だが」
「お仕事にも、支障がでてしまうので・・」
補佐官とリセは、それぞれの思いがあり、黙り込んだ。
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