遊園地

11/11
前へ
/47ページ
次へ
ようやく、出口の明かりが見えた時は・・ ダリウスにしがみついて離れられない状態になっていた。 「おまえ・・大丈夫か・・?」 「ううう・・ヒック…グス・・」 リセは半泣き状態で、なんとかうなずいた。 悲鳴を上げすぎて声が出ない。 「ホント、怖がりなんだな・・」 ダリウスは、泣いているリセの頭を軽くポンポン叩いた。 リセはハンカチで目をぬぐいながら 「小さい頃・・叱られると・・地下室に閉じ込められて・・」 薬草の分量を間違えた時、祖母はリセを地下室に閉じ込めた。 それだけではない、魔法で大蛇やオオカミ、ドラゴンなどの幻影を リセに見せて脅したのだ。 「帰りの運転は・・無理だな」 そう言って、 ダリウスはリセに助手席に乗るようにドアを開けてくれた。 ホテルの駐車場に着くと、 リセはすぐに車から降りて、ダリウスに深々と頭を下げた。 「申し訳ございません」 ダリウスは、 学校に行くのを渋る子どもを説得するような声で、 リセの耳元でささやいた。 「明日もちゃんと来るんだぞ」 そう言うと、部屋に戻って行った。 リセは・・・ ダリウスの後ろ姿をずっと見送っていた。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加