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ようやく、出口の明かりが見えた時は・・
ダリウスにしがみついて離れられない状態になっていた。
「おまえ・・大丈夫か・・?」
「ううう・・ヒック…グス・・」
リセは半泣き状態で、なんとかうなずいた。
悲鳴を上げすぎて声が出ない。
「ホント、怖がりなんだな・・」
ダリウスは、泣いているリセの頭を軽くポンポン叩いた。
リセはハンカチで目をぬぐいながら
「小さい頃・・叱られると・・地下室に閉じ込められて・・」
薬草の分量を間違えた時、祖母はリセを地下室に閉じ込めた。
それだけではない、魔法で大蛇やオオカミ、ドラゴンなどの幻影を
リセに見せて脅したのだ。
「帰りの運転は・・無理だな」
そう言って、
ダリウスはリセに助手席に乗るようにドアを開けてくれた。
ホテルの駐車場に着くと、
リセはすぐに車から降りて、ダリウスに深々と頭を下げた。
「申し訳ございません」
ダリウスは、
学校に行くのを渋る子どもを説得するような声で、
リセの耳元でささやいた。
「明日もちゃんと来るんだぞ」
そう言うと、部屋に戻って行った。
リセは・・・
ダリウスの後ろ姿をずっと見送っていた。
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