0人が本棚に入れています
本棚に追加
アラステアの山荘
今日は最終日だ。
リセは昨日の事はとにかく、最後まできちんと仕事をしようと考えていた。
指定された時間に、ホテルの最上階の扉の前に立った。
廊下には有名ブランド製のロゴの入った大きなトランクが
いくつも並べてある。
出国の準備を、始めている事がうかがわれた。
ダリウスがすぐに出て来た。
いつもの通り・・・ではなく、大きな花束を持ちスーツ姿だ。
「どちらに・・」
「アラステアの山荘だ」
リセは脳内検索をすぐにした。
アラステア・・ダリウスの母方の祖母の別荘で、
生母がそこで育ったともいわれる。
「少し遠いが・・頼む」
「わかりました」
アラステアの山荘は、平原を抜けて山の中腹にある。
引き継ぎ書に、確か記述があった。
祖母と生母の墓が、山荘の敷地内にある。
リセは納得した。
墓参りなのだろう。
ダリウスはここに来た後に、別の国に移動することが多い。
護衛は敷地内には入らない。門の前で待つことになる。
ダリウスにとって、アラステアは誰も入れない聖域なのだ。
大きな森をいくつか抜けて、
アラステアの山荘の大きなアイアンワークの門が見えた。
最初のコメントを投稿しよう!