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リセはふっと息を吐いた。
手持ちの金は厳しい。
これからの生活を考えると、少しでも増額してくれるのはありがたい。
「そのお方も、1週間後には出国する予定なのだ」
補佐官は最後の一押しをした。
「わかりました。
護衛対象のそのお方の資料を、見せていただけますか?」
補佐官は秘書を呼んだ。
「むこうで、リセにエグモント様の資料を渡してやってくれ」
「それでは、こちらにどうぞ」
補佐官は<話は終了だ>というように、
書類のはさんである紙ばさみを閉じた。
「ありがとうございました」
リセは丁寧に頭をさげ、秘書の後についていった。
パタン
軽くドアが閉まる。
補佐官はため息をついた。
<捨て駒になってもらうのは心苦しいが・・・
時間稼ぎだ、仕方がない>
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