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ファーストコンタクト
現世の有名ホテルの最上階、ペントハウスが指定された場所だった。
護衛官はドライバーも兼任する。
勤務時間はダリウスがこの場所のドアを開けてから、
最後のドアを閉めるまで続く。
指定された時間に、リセがドアの前に立つと、すぐに執事が開けてくれた。
リセは護衛官の制服、つまり
黒のジャケット・パンツに黒のネクタイで、
まったく男性と同じものを着用していた。
その姿はよけいに彼女の貧弱さを、際立たせてしまうように見える。
執事が一瞬、<大丈夫なのか?>という表情を見せたが、
すぐに声を発した。
「ダリウス様、護衛担当者がまいりましたが・・」
その声に、
リビングの先のベッドルームから声が響いた。
「こっちに来い・・」
執事がリセを見て指で方向を示し、一人で行くように無言で示した。
リセが指示された部屋に入った。
天蓋付きの大きなベッドが中央にある、豪華な部屋だった。
ベッドには上半身裸の男が、寝そべっている。
そして床には、リセの履歴書が散らばっていた。
「失礼します。今度担当させていただきます、リセと申します」
リセは扉の所で頭を下げた。
「こっちに来い」
再度指示が出たので、
リセは毛足の長い、歩くたびに埋もれてしまうような絨毯を進んだ。
ベッドの天蓋から垂れるカーテンの中にいる、
<1週間だけの主人>を見る事ができる位置まで進んだ。
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