その後の現実

2/8
前へ
/8ページ
次へ
まだ少女の時、リセは薬草摘みに野原に出た。 野原には、美しい花がたくさん咲いていた。 リセは一輪の花を摘み取り、耳元にさしてみた。 この間、学校の図書室で読んだ・・ その時の本の挿絵 可愛らしい少女たちが花輪を頭に飾り、楽しそうに手を取り合って ダンスをしていた図版 リセも、少しまねをしたかったのだ。 帰宅して、祖母に薬草のかごを渡そうとすると 「おまえ、頭に・・ゴミをつけて!!」 リセは慌てて、耳元の花を取ったが 「おまえのようなヒキガエルが・・なにをやっても無駄だ。 身の程を知れ。鏡を見るがいい」 祖母はそう言うと、 リセの手にあった花をつまみあげ、ゴミ箱に捨てた。 「早く、外の井戸で薬草を洗うんだよ、ぐずぐずしないで!!」 祖母は薬の調合を、別のテーブルで始めた。 リセはうなだれて、薬草とゴミ箱の花を急いで拾い上げて 井戸にむかった。 涙はでなかった。 ヒキガエルの自分は・・現実とどう向き合って生きるのか・・ リセの心に、深く刻まれた。 そもそも魔女は、孤独とともに生きるものなのだ。 ダリウスの優しさに、自分はどのように答えたらよいのだろうか・・
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加