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まだ少女の時、リセは薬草摘みに野原に出た。
野原には、美しい花がたくさん咲いていた。
リセは一輪の花を摘み取り、耳元にさしてみた。
この間、学校の図書室で読んだ・・
その時の本の挿絵
可愛らしい少女たちが花輪を頭に飾り、楽しそうに手を取り合って
ダンスをしていた図版
リセも、少しまねをしたかったのだ。
帰宅して、祖母に薬草のかごを渡そうとすると
「おまえ、頭に・・ゴミをつけて!!」
リセは慌てて、耳元の花を取ったが
「おまえのようなヒキガエルが・・なにをやっても無駄だ。
身の程を知れ。鏡を見るがいい」
祖母はそう言うと、
リセの手にあった花をつまみあげ、ゴミ箱に捨てた。
「早く、外の井戸で薬草を洗うんだよ、ぐずぐずしないで!!」
祖母は薬の調合を、別のテーブルで始めた。
リセはうなだれて、薬草とゴミ箱の花を急いで拾い上げて
井戸にむかった。
涙はでなかった。
ヒキガエルの自分は・・現実とどう向き合って生きるのか・・
リセの心に、深く刻まれた。
そもそも魔女は、孤独とともに生きるものなのだ。
ダリウスの優しさに、自分はどのように答えたらよいのだろうか・・
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