第3章 夫と父親

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ゆりえ「・・・天馬、言ったわよね?」 天馬「ゲッ!?」 ゆりえ「あんたのギャグ、すっごく寒い上につまらないって」 ゆっくり近づくゆりえを見てひいた表情になる天馬。ゆりえの表情を見ると、かなりのご立腹状態になっていたからだ。しょうもなく詰まらないギャグを言ったので、当然と言えば当然である。 ゆりえ「覚悟は・・・出来てるんでしょうね?」 天馬「えっと・・・これはその・・・」 邪神ちゃん(あー、何か、あの時の事を思い出しますの) 手を握りこぶしにしながら近づくゆりえは天馬を殴ろうとしていた。ゆりえの今の怒っている表情はまさに【大学生時代のゆりねと同じ顔】と思わせる顔であり、邪神ちゃんはその事を思い出す。 ゆりえ「歯を食いしばりなさい、天馬!!」 天馬「ちょっ、待っ・・・」 渾身のパンチを天馬にお見舞いしようと、思いっきり拳を振り上げようとするゆりえ。しかし ゆりね「はい、そこまでよ」 【ピトッ】 ゆりえ「ひにゃあ!?」 いきなり驚いた表情で腰を抜かすゆりえ。それは冷たい飲み物がゆりえの頬に当てられたからである。 ゆりえの頬に冷たい飲み物を当てたのはゆりねであった。 ゆりえ「ちょっと、お母さん、いきなり何すんの!?」 ゆりね「姉弟喧嘩はここまでにして、お昼にしましょうか」 天馬「た、助かった」 ゆりねのおかげで助かったとホッとする天馬。ちなみにゆりねの作った今回の昼食はオムレツやソーセージ、味噌汁やその他のちょっとしたおかずといった割と普通のものである。 ゆりね「それじゃ、みんな揃ったわね? せーの・・・」 全員「いただきます!!」 4人でテーブルを囲み、食べる合図をするゆりね達。するとゆりねは思わずクスッと笑い出す。 ゆりね「ふふっ」 邪神ちゃん「いきなり笑って、どうしたんですの?」 ゆりね「私がこうして、みんなで一緒に食べるようになったのって、邪神ちゃんのおかげだなって改めて思ったのよ」 みんなで食事を楽しむようになったのは邪神ちゃんのおかげだという事を思い出すゆりね。 そもそも、大学生の頃のゆりねは実家から離れてでのアパート暮らしをしているため、一人で食事をするのは当たり前で、家族と一緒に食事をするのは実家に着いた時くらいしかなかったのだ。 邪神ちゃん「ん〜・・・言われてみれば確かにそうですの」 今更ながら言うのはどうかと思うが、実は邪神ちゃんは人間ではなく【悪魔】と呼ばれる種族であり、その邪神ちゃんを召喚したのはまだ大学生だった頃のゆりね本人である。 何故、邪神ちゃんを召喚したのかと言うと、【悪魔が本当に出るのかを試すべく、興味があるから召喚してみようか】と思ったからである。
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