最恐の初対面

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 そこには、十代後半くらいの青年が佇んでいた。  背が高いその青年は、どことなく大人びた雰囲気をまとっている。スリムだが、しっかりした体つきと切れ長の鋭い目付きに、反射的に身体が強ばった。  しかし彼の先ほどの言葉でどうやら味方らしいと気付き、ホッとする。  この青年が、幸が気を揉んでいた“エリちゃん”なのだろう。  エリちゃんは、私のことを怪訝な表情で見ている。  それもそうだ。学生は登校している時間帯なのだから。  「エリちゃん無事? どこも怪我してない?」  幸が青年に話しかける。やはりこの人がエリちゃんらしい。  よく見ると青年の服装は乱れていた。乱闘でもしてきたかのように、シャツやズボンには、ところどころ土がついていたし、顔も少し汚れていた。  「ああ、俺は何ともねぇよ。少し汚れちまったけどな。それよりお前の方が重傷だろ」  そうだ、幸の手当てをしなければ。  「ねえ幸。応急処置したいから救急箱どこにあるか教えてくれる?」  「体調が悪い悠ちゃんにさせるわけにはいかないよ。大丈夫、悠ちゃんは休――」  「熱中症とか嘘だから。サボりたくなっただけ。だから私に任せて」  有無を言わせぬ口調で、幸の言葉を遮る。  休んでいる場合ではない。それほど酷い怪我でもないようだが、とにかく傷口を消毒した方がいい。  私の勢いに押されるようにして、幸は左腕を押さえながら、「こっちだよ」と、私を案内しようとする。  左腕――――。  私は、気付く。
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