最恐の初対面

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 「イヤッーー!」  突然聞こえてきた悲鳴に、私の意識は現実へと戻される。  幸の叫びの直後に、何かが割れるような音がして、これはただ事ではない、と血相を変え、部屋から飛び出す。  「幸! 大丈夫?! 何が……」  あったの、と続けようとして言葉を失う。  玄関は、惨憺たる有り様だった。  飾ってあった観葉植物が倒れて、きれいに掃除されていたのに、土だらけになっている。  土に混ざって白い破片が見えた。靴入れの上にあった花瓶だった。それと共に赤いシミもポツポツと――。  慌てて幸を見る。  幸は座り込み、左腕を押さえていた。押さえている箇所から血が滴り落ちている。  そして開け放たれている玄関扉をじっと見つめていた。  どうやら呆然としているらしい。私が来たことにも気付いていない。  幸に駆け寄って、目線が合うようにしゃがむ。  「幸!」  私が大声で呼びかけると、それまで心ここにあらずといった様子だった幸が、  「あ、うん」  と返事して、私を見上げてきた。  「大丈夫? 何があったの? いやそれよりも腕! 救急車呼んで――」  「待って悠ちゃん、そこまでじゃないから。病院は後で自分で行けるよ。それより誰か呼んで来なくちゃ……。エリちゃんが危ないかも」  幸が立ち上がろうとする。まだ血が垂れているというのに。  私は慌てて座らせる。  「まだ動いちゃダメ! エリちゃんって誰なの? 人なら私が――」  「あいつは逃げてった。もう大丈夫だ」  頭上から低く落ち着いた声が聞こえた。  私は、声の主を見上げる。
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