7人が本棚に入れています
本棚に追加
第十二章 思い出の牢獄
どこだ…ここは、暗い、眠い、寝ているのか、じゃあ起きるか、
「んん…」
なんかこの声を聞いて、懐かしいと感じた、ふふ、自分の声なんて毎日飽きるほど聞いているのにな…なんて考えてたら、
「日樹―!起きなさーい!」
と、母親の声が聞こえて、やばい、遅刻する、そう思った。
「やっべ、急げ!」
そう一人で呟きながら、急いで学校の準備をする。
「行ってきまーす!」
そう叫びながら、急いで登校するのだった。
「…ふふ、完璧ね、」
そう呟くのは、“あっち”の世界の“元”管理者、または、調停者の私、麗奈だった。
「あの子は危険過ぎるもの…こうでもしないと、“あっち”の世界のバランスが崩れてしまうから…」
そう呟いて、“あっち”の世界に帰ろうとしたら、
「帰るのなら、俺も…いや、私も連れて帰って?」
「…え?」
何でここに…そう問おうとした瞬間、
「何でここに…そう思ってる?じゃあ教えてあげるね、まぁ答えは簡単だよ、この世界で、死を繰り返した…それだけだよ?」
「…は?」
そう、確かにこの封印方法には一つ欠点があって、主人核が死に続けると、死んだ記憶も保持して生き返るので、この世界に違和感を覚えてしまったりするのだ。…だが、
「なんでそんな平気でいられるの?何回も死んだのでしょう?肉体は平気でも、精神面ではズタボロのはず…」
「そうだよ、でもな…」
そう彼、いや、彼女は一息置いて、こうつなげた
「こんな夢で時間つぶしているほど、私は暇じゃないんだよ!」
その言葉を聞いて、信じられない、そう思った。そう、確かにこれは夢だ。だが、心地の良い夢のはずだ。でも…
「私は心地良い夢よりも、辛い現実の方が好きなんだよ。」
…そう、では…
「この記憶を忘れたら…貴方はまた繰り返し始める、永遠に繰り返しなさい!」
そう言って、彼女の記憶を消し去った…はずなのに、
「ん?ああ、記憶操作か、そんなん私に聞くわけないでしょう、」
…え?彼女は、記憶操作を無効化したのだ。それなら、
「動いたら、彼らの命はないわよ、」
「そうか、じゃ」
そう言って、彼女は魔元素の循環無しに魔法を繰り出したのだ。…いや、魔法ではない、能力で生み出したエネルギー覇か…それにしては強大すぎだが、そういう存在ということにしておこう。それにしても、どうしたものか。今この場で殺しても、記憶を保持して生き返る。…だが、何もしないわけにはいけない、そうだ、
「理想世界、解除、そして、再展開、」
そう唱えると、理想世界が崩壊、そして、再構築された。それに伴って、彼女の記憶がまた無くなり、もう一度理想世界の中に封じ込められる…はずだった。
「ん?一回世界を崩壊させて、また展開したのか、器用な真似をするな、」
そう彼女は言った。その言動から、彼女の記憶は失われてない、という信じ難い真実が読み取れた。
「なんで、なんでなんでなんでなんでなんで!なんで貴女には何も効かないのよ!」
「…それを教えるほど私は甘いと思う?」
そう言われては何も言えなかった。もうこうなったら…私は理想世界を解除した。
「正々堂々、拳と拳で、魔法と魔法でぶつかり合いましょうか」
こうなったらもう殺すしかないそういう決意を込めて…私はそう宣言したのであった
最初のコメントを投稿しよう!