7人が本棚に入れています
本棚に追加
第二十章 魔王のスキル
“転移”で現世に帰ってきたのはいいものの、そこからが大変だった。
「お前さん凄いな!」
「どっから来たの?」
「よく無事だったな!」
いやー声援の嵐が凄い凄い、慣れた今でこそいいものの、最初の頃はうるさく感じたものだ。
「…大活躍だったようで、」
いやー麗奈の視線が痛い痛い、
「ごめん、一旦家に帰ってて、俺はリゲルと飯食ってくる。」
「…え?1人でご飯食べろってこと?」
「…ほら、これやっから、好きなところ食いに行って、好きなものでも買ってきたら?」
「…はぁ、しょうがないわね、ほら、それよこしなさい、」
「はいはい、ほれ、」
「ちょ…貴女って本当に雑ね、」
「しょうがないだろ?現世では女だが、前世では男だったんだから。」
「はいはい…って、貴女って前世持ちなの?」
「…まあな、その話はまた後でな、」
そう言ってその場を離れた。…さぁ、久しぶり(?)の外食だ!
「…」
なんかリゲルはまた無口になってるが、これはもともとの人見知りだろう。
「ほらリゲル、飯食いに行くぞ!」
「ラトモイ、口調直したほうがいいんじゃない?」
口を開いたと思えば、口調のことか、
「えーもうめんどくさいよ、」
「でもさー、折角現世で可愛くなったんだからさ、言葉遣いにも気を付けよ?ね?」
「はーい、」
ていうかさっきから能力の進化とかの通知がうるさい、
《問、“能力”虚無に今回得た能力を統合してもよろしいでしょうか?》
ん?急に問いになったな、まぁ、“はい”っと。…お?なんか結構な量の能力を獲得したっぽいな、お、着いたか、
「着いたよー」
「うん!」
なんやかんやで席に着けた。私とリゲルは、見た目を変えている、そうじゃないと、周りがうるさくなるからな、
「何食べる?」
「んーなににしよう、」
「サンドイッチとかでいいんじゃない?」
「お、口調直したね、偉い偉い、よーし、お姉ちゃんがなでなでしちゃうぞ~」
「ちょっ、やめ、やめてって、恥ずかしいから!」
周りの視線が気になる。あ~もう、一部の人たちには笑われてるよ、
「…サンドイッチとコーヒー2人前ですね、」
注文を終えた私たちは、会話を楽しんでいた。最終的に、なんか重い話になりそうなので、周りから私たちの声が聞こえないように“結界”を展開しておいた。…そして、話はこの世界に来たきっかけのことになった。
「ラトモイは、落ちた時にこの世界に来たの?」
「…うん、そうっぽい、」
「私はねー、ラトモイ、いや、日樹が手すりに寄りかかって落ちて、どこ行ったんだーって叫んだら、ここにいた。」
「なんか…ごめん、」
ということは、ほぼ俺のせいで、徹はこの世界に来てしまったのか、…なんか罪悪感を覚えるな、
「いやいや、ちょっと時間かかったけど、また日樹、いや、ラトモイに会えたから、結果オーライだよ!」
「…ありがとう、リゲル、」
「どういたしまして、ほら、サンドイッチ来たよ!食べよっ!」
そうして私たちは、二人で食べる昼食を楽しんでいた…のだが、
「そういやさ…むぐむぐ…ラトモイのさ…もぐもぐ…スキルってさ…ごっくん、どうなってるの?」
リゲルがサンドイッチを頬張りながら聞いてきた。
「見せたるから、食べながら喋るのやめなさい、ほら、口元に付いてる、」
「え?どこどこどこ?」
「もー、ほら、とったから、」
「ひぇ?じゃあとったやつはどこに?」
「ああ、そもそもとったというよりは消し去ったから、」
「…そっか、」
何で残念がっているんだろうか、まあいいか、
「で?私のステータスがなんだって?」
「あ、そうそう、一応自我失って若干弱体化してたとはいえ、魔王として十分な強さを誇っていた魔王リゲルである私をだよ?殺すのではなく、自我を復活させて解放したんだよ?そんな人のステータスってさ、なんか気になるじゃん!?」
あーそういうことか、確かに、気になるよな、まぁいいか、リゲルだし、
「ほい、ステータステーブル、“共有”っと」
「ありがとっ!」
ステータス
ラトモイ
能力
“雷撃”
・水雷支配 ・速度支配 ・次元破断
・磁力支配 ・天候支配 ・雷撃世界
“虚無”
・魂暴食 ・虚無空間 ・虚無生成
・虚無還元 ・意志強化・運命操作
・運命視認 ・思考加速・身体構造変化
種族 人族
適性能力
虚無
「あー…これなら自我失ってる私が負けたのも当たり前だ…強すぎる、」
「…そんなに強いか?」
「特に“虚無”はほぼ反則だよ、適性入ってるし、“雷撃”とも凄く相性が良い、魔王の私が言うのもなんだけど、今の時点、私よりも強いよ。」
「そんなにか…」
「あ!そうだ!私のステータスも見せるね!“共有”!」
そうして見せてもらったスキルは、魔王にふさわしいものだった、
ステータス
能力
運命
・運命支配 ・滅壊 ・再生
・時空間操作 ・無限収納
・現実視認 ・現実操作 ・法則支配
・重力支配
種族 吸血鬼族
適性能力 運命
「…え?リゲルって運命を操れるの?」
「…そうっぽい。」
「そしたら私よりも強くない?」
「…いや、これは相手より“こうしたい”という意志が強くないといけないから、スキルで意志が強化されているラトモイには、“運命改変”が使えなかったの」
「あ~そういうこと、」
なんか知らん間に手に入れてたスキルが、役に立ってたってことか、これ無かったらどうなってたことやら、
「…でもたぶんこれなくともラトモイが勝ってたと思う、」
「どして?」
「…殺す気なら、全力で“雷撃”を放って終わりだったと思う」
「あ~、それな、なんかお前ごと消し去りそうだったから止めた。」
「…なんであの時私を殺そうと思わなかったの?」
「そりゃあ、お前だって確信したからだよ、」
「…どうやって、」
「立ち振る舞い、剣の構え方、名前、その他もろもろで、」
「あ~そういやラトモイってそんなことできたっけ、」
「…一応中学上がってからは使えたぞ、使わなかっただけで、」
「だからあの時、完璧にイメチェンしたと思ってたのに、日樹にだけバレるんだもん、ビックリしたよ、」
「あはは…あの時はなんかごめんな、」
「いやいや、いいのいいの、別に気付いて欲しくなかったわけじゃないし、騙せたらいいな~くらいの感じだったもん。」
「てか、無限収納って…あれじゃん、主人公が必ず持ってるやつ、ご都合スキル、」
「あ~いまいち使い方わかんないんだよね。」
「え?そうなの?」
「そう、使用制限があるらしくて、容量は無限だけど、周りとかにも結構影響受けるみたい。」
「ほえ~そうなんだ。」
「ラトモイってそういう系のスキル持ってたりする?」
「ん~、“虚無空間”がそういう使い方ができるけど…」
「できるけど?」
「結構集中力いるんだよね、あれ、」
「あ~、そういや私の“封印”を解除した時もそんなこと言ってたっけ、」
「うん、だから、収納する時に集中しなきゃいけないけど、他はあんまデメリットはないかな?」
「え?容量制限は?」
「多分ないんじゃない?」
前に使った砂鉄の余りも入れているが、なんだかんだで結構な量あるからな、もしかしたらそろそろ入んなくなるかもしれない、
「…それこそご都合スキルだよ、」
「ん~そんなにか?」
「そうだよ!そんなにだよ!」
「そっか~、お?ほら、パフェ来たぞ、」
「パフェ!?食べる食べる!」
やっぱこいつちょろいわ、そう思いながら二人でパフェを食べるのであった…
最初のコメントを投稿しよう!