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息子たちが小さいとき
真夏ですごく暑い時期だった。息子二人はまだ幼稚園と小学校低学年。
当時は日野の団地に住んでいた。
その日は夕方から雷と雨ががすごくて、気温も高く、エアコン全開で夕ご飯を食べていた。
食べ終わって、後片付けも終わろうかと言うとき急に大きな雷の音とともに真っ暗になった。
停電だ。自分の家のブレーカーか?と思ったが、団地なので、カーテンを開ければよそのうちの電気も良く見える。
団地全体が夜の闇に沈んでいる。
しばらくは残ったエアコンの冷気で過ごしていたが、サッシも古く、どんどんと部屋の温度は上がっていく。
これは、ダメだ。と窓を開けた。これまた風が全く吹いてこない夜だった。
それに雲がかかっているのか、真っ暗だった。雨は小降りになっていた。
停電では扇風機も使えない。今みたいに乾電池で動く小さな扇風機なんてなかったし、持ってもいなかった。
朝になって知ったのだが、4時間近くにわたる長い停電だった。変電所に雷が落ちたらしい。
私が大人になってから一番長かったのではないだろうか。東京の停電はすぐに復旧すると思っていたので、ますます長く感じた。
アトピー持ちの次男が汗をかいて体を搔き始めた。私も同じくアトピーなので大人でも我慢できない痒さはよくわかる。冷蔵庫あった氷をボールに入れて水も入れ、タオルを家族分絞ってみんなの首にかけた。
今の冷蔵庫とちがって、自分で氷を作る入れ物に水を入れて氷を作るタイプの冷凍庫だった。冷蔵庫もはやく電気が回復してくれないと温まってしまう。
次男のタオルは少し緩めに絞って、汗を上からそっと拭ってあげた。
長男がどこからか家族全員分のうちわを探し出してきて、みんなに渡した。
子供たちはもうお風呂も済ませ、ご飯の後は寝るだけだったが、暑すぎて眠れない。一応暗い中で布団を敷いて布団の上でごろごろさせていたら、幼稚園児の次男は流石に眠くなったらしく、いつのまにか寝ていた。
長男も起きてはいるようだが、停電が起きたときの最初の興奮もなくなって、暑さでぐんなりとふとんに横になっている。
横になると少しは涼しいことに気づいたので、私も、元夫も布団を敷いて横になった。
その夜は泥棒はどの家でも入りたい放題だったに違いない。
窓を開けたまま、気づくと朝になっていた。
電気を確認してみるとついている。よかった。
冬ならまだ我慢もできそうだが、夏の夜の停電だけは二度と会いたくないと思う出来事だった。
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