Ⅱ Road of loneliness

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衝撃的な発言を何度も耳にしてもう疑い切れなくなっていた。 あの酒豪の父がいなくなった? どうして? でもその問に答える人はいなかった。 その日、私が聞かされたのは父がいなくなり母が出稼ぎに出ていること。 私が店に行く必要がなくなったこと。 そしてこれから兄と二人でゆっくりと生活すること。 納得のいかない疑問だらけの目覚め。 でもその日々がどんどん自分に馴染んでいてしまう。 母は朝から家を空け、兄が料理を振舞ってくれる。 掃除や洗濯は一緒にして、読書をしたり花を育てたり。 二人での会話は楽しいものだった。 でも気になる点もあった。 時々意識や記憶が消えること、兄さんが苦しそうな顔をすること。 そんな日々が続いて気づけばふた月も流れていた。 そのふた月の間、私は毎日夜になると部屋の小窓から星空を眺めていた。 でもいい時間ではなかった。 時折、耳に響いてくるのだ。 ―代わって。私になって― そんな声が。 聞き覚えのない声。 でも手足の感覚は常に自分にあった。 ライメル兄さんは眠っている。 でも前のように私に微笑んで寝ることがなくなった。 逆を向いて静かに寝息を立てている。 まるで見えない壁に隔離されているかのようだった。 どうしてこんなに変わってしまったのか。 私の体に起こる異変は何なのか。 全てがわからない。 そして皆がわからないわけじゃない。 私だけが知らない。 それが何の言葉を意味するか。 私の中に出た答えは、孤独だった。
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