STARDUST

6/11
前へ
/11ページ
次へ
 師匠がエロい笑い顔をして頷きながら、キムチを奥歯でかみしめた。  でその小汚い中年男、あほみたいにその子のこと口説いてるんやけど、活舌悪くてなにゆうてるかまったく聞き取れへんねん。俺さ、なんか腹立ってきて、なんで若い俺がケチャップ片手にさびしく飲んでる後ろで、この中年楽しんでるんやって。 「逆恨みや」 師匠が焦げかけている肉を網から引きはがそうとしている。そしてその肉を俺の皿に落としてから、 「ちょっとお姉ちゃん、網かえてー!」 今度はチャイムも押さずに地声を張り上げて店員を呼ぶ。これはご機嫌よい証拠。良い感じの仕上がりになってきた。 「で、それから?」  でさ、今度はそいつが席を立ったから、その隙に、俺、振り返って、その子に声をかけたわけよ。 『もっとほかにおるやろ、ましなのがー!ここにー!』 「ここには余計や」 師匠が声を立てて笑う。  いや、言いたくなるやろ。歳のことはいったん置いといたとしても。禿げてる、短足。まあ、好みの問題。せやけどな、あの男には清潔感がない!汗でくったくたで、もうとろけ落ちそうなワイシャツ着とんねん!あれはない!
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加