0人が本棚に入れています
本棚に追加
師匠がエロい笑い顔をして頷きながら、キムチを奥歯でかみしめた。
でその小汚い中年男、あほみたいにその子のこと口説いてるんやけど、活舌悪くてなにゆうてるかまったく聞き取れへんねん。俺さ、なんか腹立ってきて、なんで若い俺がケチャップ片手にさびしく飲んでる後ろで、この中年楽しんでるんやって。
「逆恨みや」
師匠が焦げかけている肉を網から引きはがそうとしている。そしてその肉を俺の皿に落としてから、
「ちょっとお姉ちゃん、網かえてー!」
今度はチャイムも押さずに地声を張り上げて店員を呼ぶ。これはご機嫌よい証拠。良い感じの仕上がりになってきた。
「で、それから?」
でさ、今度はそいつが席を立ったから、その隙に、俺、振り返って、その子に声をかけたわけよ。
『もっとほかにおるやろ、ましなのがー!ここにー!』
「ここには余計や」
師匠が声を立てて笑う。
いや、言いたくなるやろ。歳のことはいったん置いといたとしても。禿げてる、短足。まあ、好みの問題。せやけどな、あの男には清潔感がない!汗でくったくたで、もうとろけ落ちそうなワイシャツ着とんねん!あれはない!
最初のコメントを投稿しよう!