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白い息を吐く。 朝早い誰も居ない駅のホームで、君と二人で。 一言も話さず、けれど隣で。 世界から、取り残されたみたいに。 ほうっと息を吐く。 空を見上げる。 雪が降ってきた。 地面に着く前に、溶けてしまうような、そんな雪。 ーーー雪、降ってきちゃったね。 ーーー寒い。寒いや。 ーーー電車、まだかな。 ーーー小テストって、範囲どこだっけ。 他愛無い、生産性のない会話を続ける。 毎日同じ会話を繰り返す。 特別なことはない。 僕らの会話は、いまこの時だけ。 そのうちに電車が来る。 電車の中でも、降りてから学校までの道中も、 学校でも、僕らは話さない。 知らない人のふりをする。 住む世界が違うから、と言い訳をして。 それじゃ、また、明日の朝に。
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