1人が本棚に入れています
本棚に追加
吉田
「えっ?そうなんですか?」
なおみ
「違う違う。付き合ってないから。西田さん!変なこと言わないでください!」
西田
「だってぇ...」
すると、英雄が一係から出てきた。
英雄
「なおみ、行くぞ」
なおみ
「あ、はーい」
西田
「どこへ行くの?」
なおみ
「お墓参り。お父さんに高校に上がったことを知らせに行くの」
英雄は実の父ではなく、なおみが幼い頃に両親が亡くなったため、父親の友人である英雄が引き取ったのだ。
なおみ
「お父さん、私もう高校生になったよ。この制服、似合うでしょ?」
英雄
「神田、早いものでなおみも高校生だ。神田には感謝している。子供のいない私たちに、たくしてくれて、私たちは幸せだ」
なおみ
「パパ...」
英雄
「さて、帰るか」
なおみ
「パパ、また港署に帰るの?」
英雄
「ああ、まだ勤務時間だからな」
なおみ
「私も行こうかな。さっき西田さんが変なこと言ってたから、誤解を招かないように...」
英雄
「あまり邪魔をするなよ?」
なおみ
「わかってるって。一係の掃除しようかな」
英雄
「適当に早くかえりなさい」
なおみ
「わかった」
一係。なおみが中に入ると、係長の藤本だけだった。
なおみ
「あれ?みなさん事件ですか?」
藤本
「そうなんだ」
なおみ
「みんな怪我せず帰ってきて欲しいな」
藤本
「そうだな。留守を守ってるとそればかり気になるよ」
なおみ
「帰ってくるまで掃除させてもらっていいですか?」
藤本
「いつも悪いね。頼むよ」
一通り掃除も終わり、暇を持て余している。
なおみ
「みんな遅いね。そんなに大掛かりな事件なの?」
藤本
「そんなわけないんだが...」
なおみ
「日が傾いてきたし、そろそろ帰ろうかな」
藤本
「暗くなる前に帰ったほうがいいな」
なおみ
「それじゃぁ、お疲れ様でした」
藤本
「お疲れさん。気をつけて帰るんだよ」
なおみ
「はーい」
なおみが家に帰ると、母親の良子が夕飯の支度で大忙しだった。
なおみ
「あっ、ママ、遅くなってごめんなさい。今手伝うね」
良子
「まず着替えてきなさい。制服が汚れるから」
なおみ
「はい」
なおみが着替えて台所に行くと、ほとんど出来上がっていた。
最初のコメントを投稿しよう!