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エピローグ
「湊、後ろ向いて。」
俺の願いを叶えてくれたアクセサリーを、湊の首にかける。
「え、何、これ…?」
「今日で俺たち、付き合って1年だろ?湊にはいろいろ我慢させてるから、物を贈ったからってそれがなくなるわけじゃないけど、気持ちの問題みたいな?受け取ってくれる、よな?」
情けないことに、今まで好きな人に対してプレゼントなんて、しかも、手作りのものをあげることがなかった俺は、年甲斐もなく照れてしまって少しばかり早口になっている。
「これって、もしかして、そのためにアクセサリーショップに行ってたってこと?」
「ああ、まあな。手作りなんて初めてだったから、思ったよりも時間かかって、湊にバレないかドキドキだったよ。」
無反応の湊に不安になって、余計なことまで口走る俺。
喜んでくれるかもなんて、やはりドラマのようにはそう上手くいくものではないのだろうか。
「煌太さんって、本当に不器用さんで可愛い!」
俺が不安に思っていたところに、俺が気にしていることを言ってくるのが湊である。
「でも、すんごい嬉しい。ありがとう。それに、すんごい会いたかった。」
そう言って笑って俺のそばにいてくれるなら、お前の可愛い嫉妬だってなんだって俺は受け止めるから。
お前も俺の不器用な愛情表現を、たっぷりと受け止めてほしい。
「煌太さん、帰ろう?俺たちの家に。」
来年も再来年も、その先もずっと、この手を離さないから。
ずっと、夏の蒸し暑い夜に、俺と花火を見てください。
このグレイな世界で。
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