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「水希さん、とても素敵な仕上がりです!お相手の方もきっと、喜んでいただけますね。」
「だと、いいんですけどね。」
そもそも、記念日とか誕生日とかに疎かった俺が手作りのアクセサリーを作っているなんて湊は夢にも思わないことだろう。
同僚の一言が全ての始まりであった。
『そういえば、この前奥さんと結婚して8年目の記念日だったんだけどさ、俺すっかり忘れてたんだよな。でも女の人ってそういうのちゃんと覚えてるみたいでさ、帰ったらぶっきらぼうにはい、これって渡された箱に手作りのバングルが入ってたわけ!さすがの俺も感動したよな。だからさ、お前も付き合ってる人いるなら、記念日は大事にしとけよ?』って、半分以上惚気話を聞かされたわけだが、目から鱗状態の俺は、すぐに手作りのアクセサリーショップを調べて1ヶ月間、湊の目を掻い潜って通い続けていたわけだ。
物をあげたから何かが変わるなんて思ってもいないけれど、心配性で嫉妬ばかりする湊がこれで少しでも安心してくれるといいとは思っている。
俺だって、若い湊にいつ呆れられるかとかもっといい男なんか世の中に数えきれないほどいるんだから、いつ湊が他の奴を好きになるかとか、湊には言わないだけで結構不安なんだ。
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