15人が本棚に入れています
本棚に追加
嫉妬のわけは。
「湊、何かあったなら俺には言えよ?聞くだけしかできなくても、何か力にはなれるかもしれないし、な?」
「だったら、言うけど…煌太さん、今日誰にも会わないって言ってたよね?」
カレーライスの器ばかりを見ていた瞳を俺に向けて、鋭く言葉を放つ。
「あ、ああ。そうだよ?なんで?」
「俺さ、今日、見たんだ。子どもたちと散歩してる時に、煌太さんがアクセサリーショップで女の人と話してた。あれって、どういうこと?」
俺はかなり、焦っていたと思う。
まさか、仕事中の湊がアクセサリーショップにいる俺を見かけるなんて1ミリも疑わなかったし、仮にサプライズで作ってるなんてここで知られてしまってはサプライズの意味がなくなってしまう。
せっかく、湊が喜んでくれる顔が見れると思っていた俺は、苦し紛れの嘘を重ねることになる。
「ああ、あれはそうだ。湊には言ってなかったけど、同僚が奥さんにプレゼントしたいからって俺までついてきてくれなんて言うから、買い物ついでに行っただけだよ。」
「同僚?男の人だよね?そんな人、いなかったと思うけど。」
湊が俺の瞳をじっと見る。大きくて丸い茶色がかった瞳が俺を捉えて離さない。
「湊が見た時はいなかったんじゃないかな?先に出てるって言ってたからな。」
「煌太さんさ…何で俺が嫉妬するか、わかってる?」
最初のコメントを投稿しよう!