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湊がフラフラと椅子から立ち上がる。
「でもさ、俺、不安なんだよ。煌太さんは俺よりも大人でめっちゃかっこよくて、女の人とたくさん付き合ってきて今でもみんな煌太さんのこと、見てるって知らないよね?
それに比べて、俺なんてガキでろくな人と付き合ってもこなかったし、仕事だって煌太さんに比べたら全然できてねーし。
園の先生たちもみんな、煌太さんの話しばっかりで、でも俺と付き合ってるんですって言えねーだろ?
付き合っててもデートもできない、誰にも言えない。2人だけがわかってればいいって、付き合う時言ってくれたけど、じゃあ俺が煌太さんを繋ぎ止めておけるってどうしたらいいの?
もう俺、わかんねーよ。」
湊はそのまま、俺に背を向けて家から出て行こうとしている。
「湊!待てよ。どこ行くつもりだ?」
「もういい!煌太さんなんて、もう知らねーからな!」
バタンと、無情にも鳴り響く扉の音と、湊の食べかけのカレーライスと俺だけが、その場に取り残されている。
湊の心の叫びだけを、残して。
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