夏の夜にゴリラが咲き、生まれる

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 とある森のお話です。  木々が生い茂る森の奥深くに、虹色に光る湖がありました。その湖には水色の髪をもつ美しい人魚がいました。彼女は人間にもなれる特別な人魚で、人間のことに詳しい人魚でした。人魚は、森の中しか知らない動物たちに人間の物語を聞かせるのが日課でした。  隣人と浮気をして離婚騒動でえらいこっちゃになった夫婦の話、嫉妬から心優しい少女を嵌めようとして返り討ちにあった醜い魔女のような老女の話、長いすれ違いを経て仲直りした親子の話などなど。争いが殆どない平和な森の生活では聞くことなんてないであろう刺激的な話がたっぷりの物語に動物たちは興味津々。瑞々しい果物や辛味のある草花をかじりながら耳を傾け、笑い、時には泣き、動物たちは人魚の語りを聞くたびに満足感に浸っていました。  その中でも森の王の息子であるゴリラが人間の物語に興味を持ちました。
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