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出発(二)
「どうせなら、もう少し早く戻ってほしかったけどね。気ままに飛び回って、羽衣もやっと満足したのだろうし、まぁいいわ」
「失くしたのはウン十年前って言ったよね? 天女って、歳を取らないの?」
「取るけど緩やかなのよ。なにせ寿命が長いから」
「ああ、だから、悠長に待ってられたわけか」
言われて、あまねはまた笑った。
「さぁ、お互い人目につく前に帰ろうか。今度は途中で落っこちちゃダメだよ」
「はは。おねーさんも気をつけて」
少年がUFOに乗り込む。あまねも羽衣をなびかせた。
互いに顔を見合わせて、満面の笑みを相手に送る。
そうして、それぞれが故郷へと出発したのだった。
夏の夜、花火に紛れて飛び去った、人ならざる二人のお話。
【完】
お付き合い、ありがとうございました!
“映像ではない”という点を利用して、最後にキャラクターの姿に驚いてもらえれば! と考えたお話です……シーン毎にどう書くか苦戦しました(汗)
天女の名前は、“天女”を“あまね”とも読むことから。
少年が物理的に小さい表現も、いくつか入れてみましたので、よろしければ探してみてくださいm(_ _)m
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