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交渉(二)
そう言われて、あまねは頬に手を当てた。
「困ったなぁ。大体みんな私の美貌にイチコロで、お願いだって喜んで聞いてくれるのに」
「わがままか」
「あんたが例外なのよ」
「自信が揺るがないね。あげく、僕のせいにし始めたよ」
一向になびかない相手を前に、あまねは仏頂面で腕を組む。
「私、どーしてもそれが必要なんだもの。元々、私が失くした物よ。ずっと捜してたんだから」
「わお。この流れで、自分の捜しものだったなんて言われても信じらんないよ。いつ、どこで失くしたっていうのさ」
「ウン十年前。今はほとんど埋め立てられた大きい河」
「……おねーさん、一体いくつなの」
問われて、あまねは押し黙る。
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