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交換と提案(一)
ふむふむと聞いていたあまねは、突然、あっと声を上げた。棚に置いていた物を手に取る。
「ねぇ、それってもしかして、こんな感じの……?」
一瞬、言葉をなくしたのは少年だ。あまねの持つ物を眺め回し、やがて力強く頷いた。
「そう! これ! 間違いない」
「偶然だね。昨日の夜、拾ったのよ。届け出る時間がなくて」
それは定番の車型とは違い、操縦席を囲む窓が全面クリアで、アニメに出てきそうな見た目をしている。まぁ、カテゴリー分けするならば乗り物なのだろう。玩具売り場にあれば人気かもしれない。
目を輝かせる少年だが、すぐに眉間にしわを寄せた。
「ちょっと壊れてる……」
「そうなのよ。あ、私じゃないからね」
慌てて否定すると、少年はすんなり信じてくれる。
「うん。むしろ、これくらいで済んで良かったよ……でも、直すまでは恐ろしくて、とても家に帰れないや」
「直せるの?」
「まぁね。ちょっと時間はかかるけど」
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