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少年と捜しもの
さて、準備も整い、町を発つ日を迎えた。
なんだかだと楽しく暮らしていたあまねたちも、今日でお別れ。昼のうちに、部屋の引き渡しも終えていた。
今日は夏祭り当日のため、遠くには本物の花火が見えている。
あまねと小さな少年は、賑わう場所から距離のある川原にいた。
「あんたの乗り物を拾った日もね、ここで花火みたいな光が上がったんだよ」
それがどうにも気になって、あまねはこの川原にやってきたのだ。
「僕がUFOと一緒に落っこちた時だね。その衝撃で火花が散ったんだ」
すっかり整備した乗り物を撫でながら、少年が言う。
そう、乗り物というのは、地球人がUFOと呼ぶもの。彼は不時着した地球外生命体であった。
そして、玩具と見紛うUFOに収まるからには、彼の身長も三十センチそこそこ――小さな子どもとは、文字通りの意味だった。
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