第十話 会の主催者が語るのは人の怖さのようでいて

1/1
前へ
/56ページ
次へ

第十話 会の主催者が語るのは人の怖さのようでいて

はーい、わたしが今回の企画の発案者であります、文芸部一年、霧谷六花です、はじめまして! お集まりくださった皆さま、ほんとーにありがとうございます! でも皆さん、けっこーイイ度胸してますよね。部長の話が正しかったら、ここにいる人たち、死んでしまうかもしれないじゃないですか。めっちゃ怖くありません? ない? 空元気? うーん、信じてないって感じの方も多いんですかねぇ。それとも自分だけは大丈夫だって思うのかな。 あはは、マジで怒らないでよ、ジョーダンなんだからさ。堂橋君って案外マジメなんだねー。友達といる時はもっとチャラいのにさ。バレたら、ハブられるんじゃない? メンドーだから、そういうの。 ……はいはい、吾妻先輩はそういうと思いましたよ。あいっかわらず、つまんない人ですねー そうですね、わたしはどうかっていうと、別に死んでもいいからってカンジですかね。 生きてたってつまんないことばっかりでしょ?。だったら、別に死んでもいいかなーって。 死ななかったら、この話がウソってことで、一つくだらない迷信がなくなる訳でしょ。怪奇物、いーじゃないですか。書きやすそうで。吾妻先輩なんて、小説書けないんだから、そういうの書いていた方がいいでしょ? はいはーい、本題入ればいいんでしょ? 言い出しっぺなんだから、ちゃんと用意してきましたよ。 そうだねぇ、部長の話の補足話はもっと後にしたほうがいいよね。最初はあっさりとした話からいこうかな。 学校の中で、毎日必ず行く場所ってどこでしょうかー? 教室? まぁ、常識的には? でも部活の日だったらいかないよね。トイレ? 女子じゃあるまいし、男子は必ず行かなくてもいいでしょ。半日の時とか、フツーに行かないでしょ。 ……案外。案外、授業がない日に登校する時だって、ここだけは使うんじゃないの? っていうのはさ。 下駄箱じゃないかなぁ。 学校って土足厳禁の場所、多すぎるし。 運動部の部室くらいならセーフだったりするけど、それでも鍵取りに行くために職員室には行くでしょ? 職員室に行くには校舎内に入るでしょ? ほら、上履きに履き替えなきゃダメじゃん。 そうやって考えると、マンガみたいにラブレターを下駄箱に入れたり、嫌がらせみたいに虫入れたり、ゴミ入れたりするのってアリなのかもね。絶対、そこ通るじゃん。なのに、教室と違って登下校の時しか使わないから、人に見られる可能性低いし。カンペキだね。 でも現実って、恋文なんか入れる子いないんだよ。なのに、ゴミ入れたり、嫌がらせしたりする奴はいるんだよね。 わたしが入れられた訳じゃないよ。入学してからちょっとして、かなぁ。同じクラスの子がね、そういう嫌がらせに遭っていた訳ですよ。 でも、ちょっと不思議なできごとだった。 入学してからそんな経ってない頃ってことは、分かりやすく恨みかったりする機会がないでしょ。 確かにその子、めちゃ美人で、妬みみたいなものは買うかなーって思ったけど、女子ってマンガに出てくる女ほどバカじゃないんだよね。変に嫌がらせして、自分に文句つけられたらイヤでしょ。彼女、分かりやすく孤立していた訳じゃないし。 入学当初って色々分からないからね。自分がちょっとばかり同じ中学の子達とつるめてたって、長い高校生活、ずっとその子達とつるんだりはしないでしょ? 新しい人間関係を作らなきゃいけないんだから、さすがにそんなことしている場合じゃないわけよ。 嫌がらせの内容? 下駄箱に虫入れたり、ゴミ入れたりされてたの。 蝶とか、カマキリとか、バッタとか。あと、ビー玉とか、子供が遊ぶようなカードとか。は? ポケモン? いや知らんし。ピカチュウではなかったんじゃないかな。わたし、ポケモン知らないから分からないけど。 ……うん、でもそうなんだよね。内容聞いて、ひょっとして、って思った人いるんじゃないかな。 連日、下駄箱に変なものを入れられるものだから、最初は普通に流してたその子も、さすがに気味悪がっちゃって、先生に相談しに行ったんだよね。で、内容を聞き取りされた時に、先生に言われちゃったんだよ。 「なんか、男の子が好きそうなものばかりだなぁ。まさか、良かれと思って入れてるんじゃないだろうなぁ、これやってるやつ」 ね、普通そんな訳ないって思うでしょ。高校生でそんな思考してたらマジバカじゃん。バカ通り越して、ちょっとヘンだよね。 でも現実は予想を上回ってて、先生が見つけた犯人の男子は、彼女が好きだから下駄箱に入れたって自白した訳。 ヘンでしょ。おかしいでしょ。 いちおう先生が注意してくれたし、それ以降は止んだからさ。そいつが誰なのかは聞かなかったの。 マジで気持ち悪いけど、でも止めたんならいいじゃんって、被害を受けた女の子自身が言ったんだから、周りがそれ以上いうことなんてないじゃん。 だから、本当はこの話はこれでおしまいのはずだった。 でもね、その後も同じようなことが続いたの。 もう一度先生に話して、そいつに注意してもらおうとしたらね…… 今度は、別の男子だったの。 理由は一緒、入れるものの系統も一緒。なのに、人だけ違うの。 しょーじき、この高校ヤバない? って思っちゃったよ、その時は。 でもその時はやった男子の名前分かったから、わたしとしては気味悪さの方向性が変わっちゃった。 その子、わたしと同じ中学から来た男子で、小学校から一緒だったんだよ。小、中ではサッカーバカで、むしろゲームだのカードにはうとくて、女の子に贈るものになんか選ぶはずないんだよね。 で、これが決定的に、不可思議な点なんだけど。 カレ、虫が嫌いだったんだよ。 そいつは多少知っていた訳だし、やらかしてもいるからさ。変だ変だと思っても、文句くらいは言ってやろうと思って、話したんだよね。 そしたらそいつ、すごく言いにくそうにして、打ち明けてきたわけよ。 誰にも言わないでほしいんだけど、って前提にして。 下駄箱に入れたことは覚えてる。だから自分なことは間違いない。 でも、なんでそんなことをしたのか、分からないっていうの。 なんだろうね。何なんだろうね。 もちろん、そいつの言うことを信じる理由もないんだけど、引っかかることは残ってるんだよ。 その、引っかかることの一つとして、さ。 その事件、まだ止んでないんだよ。毎回、誰がやったかは変わるのに、やられることは一緒なの。 その子、夏休みに入る前から少し休みがちになってるんだけど、ね。 二学期も同じことが起きるのかなぁ。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加