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痛みと情けなさ
痛みと、あんまりな情けなさに昼日中から毛布をかぶってたら、猛烈な勢いで階段を駆け上がる音がした。
まったく。
んなガサツだからいつまでも男ができねんだよ。
ため息をつき姉の未来を憂いたその瞬間。
「山登っ!」
予想外の声とともに開けられたドアに、心臓がバクンと音を立てて跳ねた。
絆!?
は?
なんで!?
あの野郎かっ!?
俺の部屋には鍵がない。
青臭い頃、母さんに反抗したとこを親父に叱られて逃げ込んだ際に破壊されたままだから。
それにしたって、母さん、うちのセキュリティチェックはどうなってんだっ!
「おい、山登っ! おまえ、聖廉の準ミスと遊んでるって話、マジかよっ!」
声に怒りを含んだ絆の言葉を聞いて、清澄が連絡をとったんじゃないってことに、ほんのちょっとほっとする。
だって一晩一人で毛布にくるまってる間に、なんかいろんな妄想したからさ。
その中に焼けぼっくいに火がつくパターンなんてものあったわけだ。
つか、誰だよ、俺が百合と会ってるのばらした奴。
極力絆とかぶらないとこに行ったはずなのにっ。
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