現実の結果

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現実の結果

 俺が清澄と接触を図ることで絆に連絡がいくだろうって予想もないじゃなかった。  まあ、当然、俺が勝手にやったことだって清澄には言うつもりだったし、婚約者を元彼……ってこの表現もまあ微妙なんだけど、その友達にいいようにされたからって、なんかプライド高そうだから絆には連絡しないだろうって思ったんだ。  いや、そうさせる、はずだった。  けど現実は、こんなもんだ。  まさかの暴力沙汰に発展したうえ、ここまで見事にやられるなんて想定外。  所詮はお坊ちゃんだって思ってたのに、まさか婚約者の不義まで野心の布石にするなんてな。 「心がいらないなら、風俗でもいけよ」  まだ今日ほどの痛みはなかったけど、セダンの後部シートに横たわってた俺が発した声に、清澄は鼻で笑った。 「高校生で風俗通いはまずいだろ。それに、誰が心がいらないって? そりゃあ必要だろう? 与えられるセックスの濃度が違う。全部を惜しみなく与えますっていうのが、いいんだ」  記憶の中心から少し離れたとこに追いやってた清澄にすがるような絆の声や、清澄を家に引きこんだ少し後に見た蕩けたような表情が、ベッドの中で心を許し、体を開いてる姿を想像させる後押しをした。  盲信だったと言った絆。  うどんが辛いのを言い訳に泣いていた絆。  ぎりぎりと胸が引き攣れる。  あげく絆を無残に棄てて、選んだ女も所詮駒?
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