213人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
3分
「6番と12番が、3分ベロチュー」
来たっ!!!!
待望の組み合わせ。
ガッツポーズを堪えて、腕にすがる彼女を引きはがすと椅子から立ちあがる。
が、だ。
それまでへらへら笑ってのに、べロチューの命令を受けた相手が俺と知った瞬間、絆が素になった。
は?
なんだ、それ。
今の今までノリノリで、誰とでも舌絡めてたくせに。
なんで、俺にはそんな顔?
カチンときて、むかついて、絆を強引に立たせると、片手で腰を引き寄せ片手で頬を固定し、ひき結ばれた唇に舌をねじ込んだ。
「うっ…んっ…」
ピューと、口笛の混ざった冷やかし。
腕で俺の体を押し返そうとするのを逆に抱き返す。
気持ちなんてこもってない、酒に酔った悪乗りのキスに見せかけて、口内を舐りあげた。
声なんて出させないくらいの深い口づけ。
怯える小動物みたいに縮こまった絆の舌を吸い上げ、絡みとり、擦ってはまた吸ううちに、絆の体から力が抜けていく。
やがておずおずと、絆の舌が己の意志を持って動き始めた。
離れない唇の奥で唾液をかき回し、お互いを探るように。
逃がさないとばかりに。
生き物みたいに絡み合う二つの舌。
ああ、やばい。
気持いいとか、もう、そんなもん、超越してる……。
「…ふ……んっ…」
酸素を得る為に鼻を抜ける呼吸の甘さに、たまらず絆の髪をかき乱す。
背に回された絆の手が俺の背中をギュッと掴むのに、押し倒し、突き進みたい衝動だけが俺を塗り込めた。
絆と繋がりたい。
絆と、一つになりたい。
絆を、食い尽くしたい。
最初のコメントを投稿しよう!