兄弟とキョウダイ

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兄弟とキョウダイ

 トマの兄貴であり、前に合コンをセッティングしてくれたキョウ。  大学の休みに帰郷したタイミングで、トマのバンドがボーカルの不調で出演できないことになり、急遽キョウとその仲間が代わりに出演することになった。  キョウは元々ルチアっていうバンドのギターだったけど、進学のためにバンドを抜けてからギターなんて触ってないなんてほざいてたから、絆と一緒に冷やかしに来たんだ。    けど、キョウはリハーサルの時間になっても来なかった。電話しても繋がらなくて、メンバーも慌ててる。   つってもまあ、あいつは基本的にそんな奴だけどな。  勝手というか、自由というか。弟の彼女を平気で寝とるような奴。  俺も昨日、久々の帰省だからって呼びつけられて乱痴気騒ぎにつきあわされたのが、まだ腰に響いてる。     そんで、俺らが頭と尻の軽い可愛い女の子と乱れた直後に、代打のライブの件でキョウがトマを呼びつけてたんだけど、弟を乱交パーティーの現場に呼びつけるっていう発想がすげえわ。  さすがの俺も、女と戯れ合った名残も生々しい場所に実の姉は呼べん。  現れたトマのあの呆れた顔。  俺まですっかりあのオカシなキョウの仲間扱いにしてたよなぁ。  とはいえあいつら兄弟は穴キョウダイで、俺はキョウと穴キョウダイ。  俺とトマは……穴イトコ?  「れ? 絆どこ行った?」  つまらんことを考えながら買い物から戻った俺は、居るはずの場所から居なくなった絆の姿を目で探した。  絆は基本的に楽器弾きだから、ライブイベントのリハに顔出すような奴らとは音楽談義に花を咲かす。  そして俺はロクに歌詞も覚えない歌うたいだから、楽器の話には興味もなく、絆のアイスを買いにコンビニにお出かけしてたとこだ。  が、戻ってみれば俺がホールを出る前に話しこんでいた奴の傍に絆の姿は見えかった。  
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