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雰囲気はイケメン
「あ、休みやる代わりお前、インタビュー受けろな?」
「はぁ?」
「いや、なんかさ、イケメンごはん? 口コミのイケメン店員情報サイト? アプリ? なんかそんなとこが取材行っていいか? って聞いてきたから、オッケイしとくわな」
「ああ。別にいいんじゃないすか? てんちょでしょ?」
「おまえ、嫌味か? なんで俺だよ。おまえに決まってんだろうよ」
「はああ? 俺ヤだし。イケメンじゃねえもん」
「ちょっとーっ! お聞きになった!? 須賀さんっ! ねえっ」
いきなり首をひねり厨房の方へ声をかけると、コックコートを脱ぎながら現れた須賀さんが笑いながらそれを「まあ、むかつくわな。それ、かけといて」と投げてきた。
いやいや、本当のイケメンってのはトマみたいな奴のことをいうんだ。
俺はまあ自分でいうのもなんだけどスタイルがいいだけで顔は平均的なもんだ。写真だと馬脚を現す。
「いや、だって俺マジでそんなたいした御面相じゃねえもん。それで探してる女の子が画像指さして『イケメンの定義って……ぷぷぅっ』とか笑われるのがみえてる」
「それはお……」
「そんなことないですっ! 山登さんかっこいいですっ!!!!」
店長の言葉が、いつになく熱の入った迪也の声に遮られた。
「……おい、山登、おまえ……まさか」
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