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無意識の証
「……ふッ…」
「…んぁ…」
熱い呼気も、唾液の混じりあう音も。
全部がまるごと、俺を酔わす。
日頃は器用な絆の指が、俺のシャツのボタンを外す為にまどろっこしそうに動き、それこそボタンを引きちぎらんばかりなのに、俺も唇を離すのももどかしく、息継ぎの隙をつくようにしてたくしあげた部屋着を頭から抜いた。
「やべ。………すげー、色っぽい」
21の男にしては線の細い身体。
でも、けっしてガリガリってわけじゃなくて、程良く浮かび上がる筋や骨の端々から匂いでる色気は、男とか、女とか、もう性を超越してる。
撫でれば手に吸いつくような滑らかな素肌は、これまで身体を合わせたどの女の子よりもみずみずしかった。
「は…ぁ…やま、と…」
ミルク色の肌が情欲に染まってるのにたまらず、組み敷いた絆のあちこちに唇を落とし、舌を這わしていく。
その時、我知らず痕をつけてるのに気づいたのは、自分の首筋に小さな痛みを感じた時だった。
「つけかえしてやった。…これで、浮気できないからな」
いたずらっぽい笑みと極まったような表情が混在してるのに、眩暈がしそうだ。
「んなもん、できるわけ、ない」
なんでそんなことできるかよ。
これ以上もない存在が、こうして、この腕の中にあるのに。よそ見なんてできるはずがない。
「ぁあ、や、まと……ぉ」
「……ああ……きずな…やらしー色、してる……」
まるで誘うように色づき、プクリと立ち上がった胸の小さな尖りを口に含み舌で転がすのに、絆は息をのみ、首をのけ反らせて、快感を耐えるように俺の髪をかき乱した。
「…は、ぁん………いい……あ…ん…やま、とぉ」
部屋着は生地が柔らかいから、絆の下半身の情報を如実に伝えてくれる。
女の子と違って演技のできないそこが盛り上がってるのに、ちゃんと感じてるんだってのがわかって、いよいよ俺自身が、伸縮性のよろしくない綿パンの中で放置されてることに、痛みで苦情を訴え始めた。
口と、左手で絆を愛しながら、なんとか右手でベルトを外そうとするんだけど、これがまたやっかいもので、こんな初歩で躓く自分ってのを発見して舌打ちして、しょうがなく左手を絆の身体から離そうとしたら、それよりも早く絆の手が伸びてきて、せわしなくベルトとボタン外し、ファスナーをおろして、俺のいきり立ったソレに指を這わした。
「…ああ……やま、と……山登……早く…欲しい……」
苦節9年の褒美は、とんでもなくデカイ。
あー、くそ。
きもちいいっ!!
けど、ヨすぎて、いっそ、股間が痛いっ!
「ちょ、悪い。一回、出していい?」
一瞬。
キョトンと俺を見て、直ぐに艶やかに笑み崩れる絆。
その間も纏わりつくように竿に這わされる指の気持よさに、口が閉じられずに切なく息が漏れた。
「ん。いいよ」
「一緒に……抜く?」
絆のひっ迫具合は測りかねるけど、まあ、俺が挿れさせていただくことになると思われるので、俺が勃てばいいわけだから、絆が出して2回目勃たなくても、そこは問題ない……よな?
男同士の行為を一度しか経験してない俺には、そこら辺の感覚がわかりかねる。
しかも相手は経験豊か……て、あ、もう…マジで、やばい。ただでさえ溜まってたのに、そんな手つきで弄られたら、もう……。
「大丈夫」
で、そう言われると、気持いい中にも、ちょっと複雑な気持ちになった。
やっぱ、俺の方が耐えきれないくらい絆を欲しがってるんじゃないかって。
と、次の瞬間、絆の指が股間から離れ、ヌッと身体を起こした反動で身体を押し返され、ソファーに座らされる形になった。
なんだ? って思ったのは一瞬で。
これまでの性体験上、冷静な部分では絆が何をしようと俺の前に跪いたのかくらいわかったけど。
言えば相手は、ついさっきまで手に入らないと思ってた相手なわけで、そりゃ脳も戸惑う。
だから止めようと思うより、温かい粘膜で包まれる方が早かったのは、しょうがない、だろ。
「…は…ぁっ……」
とんでもない心地よさに、声が漏れるのだって、しょうがない。
口淫されたのは決して初めてじゃないけど。
もう、この光景は、ありえないくらい、やばいんだよ。
だって、絆さんが……。
ブロウ・ジョブ……っす、よ…?
なんだ、これ。
はは。
昇天しそう。
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