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飽きることのない
イヤらしい水音を室内に響かせる程にキスを交わすうち、すっかり元気をなくしていた絆の前が、俺の身体との間で少しずつ形をとり始めるのが、伝わってくる。
「ふ…ぁあっ」
絆の熱く滾ったそこを軽く扱けば、呼吸を奪うあうようなキスに隙間が生まれ、唾液に濡れた蠱惑の唇からは脳を焦がすような切なげな息が漏れた。
「はっ……う、ごいて……いい? ゆっくりする、から」
窮屈過ぎた絆の中から与えられてたあの痛みはもうなくなって、そうなれば、残るのは快感のみ。
擦りつけたいって衝動を抑えることが厳しくなってきた。
「うん…うん…」
それこそ熱に浮かされたみたいに頷きながら、唇に生まれた隙間が耐えられないとばかりに唇に吸いついてくる絆。
次第に緩み蕩け始めた狭道は俺の精を奪わんとばかりに、熱棒にまとわりついて、”ゆっくり”なんて言ったのに、そんな言葉は、たちまち守れなくなりそうな状況に陥る。
やば……。
ほんと、なに、これ。
俺、こんなん、知らねーし。
「……絆ん中……超きもちいい……」
穿つ速度が速まるのを、抑えられない。
だって、気持よすぎだろ。
舌絡め合いながら、甘い媚声を紡ぎ、俺の髪をかき乱す絆って、それだけでもたまらないのに。
「ん…ぁあ……山登……山登…」
上気した頬。
欲望に濡れた瞳と視線が交わるだけで、原始的な欲求が頭を支配しそうになる。
ああ。
もっと。
もっと。
奥まで…っ。
「はあぁ…気持いい……もっ……ああっ…」
そんな歓喜の涙を含んだ声に煽られ膨張した俺を感じたのか、絆の中がキュッと締まるのがあまりにも快くて、俺は一層深く捻じ入れた。
「……絆……ああ…やばい…。よ、すぎ…」
「…ぁ…ぁあ、あ、あぁ」
俺が穿つ度に絆が声を上げるのが、そしてその声が、俺が送る振動に揺れるのが、たまらない。
強く打ちつける腰に絆の身体がずり上がるのを脚を掴んでひき寄せ、尻を少し上向かせるようにしてガッチリと固定すると、今度は下の方へ押し付けるみたいな挿入に変えた。
「ああっ…やっ……深っ……ああっ」
悩ましく歪む顔。
まるで快楽に耐えきれないとばかり、絆の手がシーツを掴み、自らの髪をかき乱し、指を噛み、忙しく動き回る。
そんな光景が一層俺を昂ぶらせ、一切ゆとりを持たせる余裕を与えてくれない。
これまでのセックスは何だったんだって思えるような快感に、がっついてる自分をカッコ悪いと思う余力も、もう、どっかにいってしまった。
「あ、や…も……だめ…」
意識的にしてるのか、そうじゃないのか。
腰を揺らし、身をよじらせ、俺から落ちた汗を自分の身体に玉のように浮いた汗とかき混ぜるような淫靡な姿に、もう、脳が、焼き切れそうだ。
や、ばい……。
もう、イきそ……。
「や…やま…と…やま…」
泣きそうな顔して震える唇から切なげな声を漏らす絆が、口を開き、頭を浮かせて俺の方に手を伸ばす。
「は…あ…んぁっ…も…も…イク…イクから…やま、とぉ…」
それがキスを望んでるんだって気づいて、心臓が大きく震えた。
『絆はセックスの時にキスするのを嫌がる』
そんな、セフレの言葉が蘇ったんだ。
絆は普段、比較的誰とでも平気でキスをする。
でも。
セックスの最中は誰とも、したがらない。
それは、気持よすぎて死んじゃうから、で。
そんな、蓮っパな理由らしいけど。
だけど……。
───もう、死んでもいい───
赤い唇と、リンクする絆の声。
ああ、もうっ、くそっ。
打ちつけられる快感に喘ぎながらも、俺との距離を無くそうと足掻く絆にたまらず、頬をすくい上げ、ぶつけるようにその唇に吸い付いた。
息も忘れて舌を絡ませあいながら、こみ上げる劣情のまま一層硬く張り詰めたモノで絆の中をこね上げる。
「きず、な…はぁ……絆ぁっ」
「やま、とぉ…ふ…ん…ぁ…あ、んん、ん、…ふ…ああっ」
触れ合わせたままの唇が、抽挿の動きに添って、擦れ合う。
荒い呼吸に混ざる嬌声がいよいよ甘く、高くなれば、つられるように射精感が募り、もっと長く啼かせたいと思うのに、自分の快楽の為に強く、激しく腰を振るのを止められない。
「ぁ…も…イクっ! イク…イクっ…はぁ…っあ…ああっ」
一際高い喘ぎ声の後、俺の胸に白濁を散らし、極まった中がギュッと俺を締め付ける。
「あー…もう…俺も…出そ…」
狭まり、痙攣にうねる絆の中はあまりにも気持ちよくて、中で出しちゃダメだと思うのに、どうしても抜き取ることができなくて。
「な、か……中に…やま、とぉ」
なのにそんなことを、殺人級に色っぽい顔でいうもんだから。そんな甘い誘惑に勝てるはずなんてなくて。
「……くっ…」
埋めたまま、中で達してしまった。
「はぁ…はぁ…ん…ぐ」
ビクビクと全てを絞り出すように放出しながら、荒い息を整える間もなくまた深いキスを交わす。
「ふ…ん、んん」
「絆…もう、離さないから……」
覗き込んだ黒檀の瞳。
そこに映る、間抜けなほど満たされた俺の姿が視界から消えるのは、飽きることない口づけを交わす為。
「くっついて、離れないから。後悔、すんな?」
そんな絆の囁きが唇から振動となって脳髄を痺れさせる。そしてそれは、直接下半身へと繋がった。
「……あっ……また…おっきぃ…?」
「煽ったのはそっちだからな。そっちこそ、後悔すんなよ」
「……は、や…あぁっ…」
「一生、くっついとけ」
それが言葉にできたかどうか。
それが絆に届いたかどうか。
どっちにしろドロドロになって溺れてた俺達には、もう、言葉は、意味をなさなかったと思う。
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