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お年頃だもの
こりゃいかん。
「……っ!?」
慌てて身を起こそうとしたのに。
「……あ…やっ……」
なんとも悩ましい声をたて、絆は離れようとする俺の体を引き寄せた。
「あほっ! やめろっ!!」
「……や……だめ…」
こっちのセリフだっ!!
そんな声出して抱きついたら、ナニかがおっきするじゃないかっ!!
つか、なんだ。これ。なんだ?
いいの?
なに?
これ?
え?
これって、そういう理解で、いいの?
あ、ちょ、パニック。
落ち着け、俺。
いや、無理無理。
「おま…それ…さそ……さそ…」
絆の真意を確かめようと、その目を覗き込むのに体を浮かそうとしたら、逃がすまいとばかり、ぎゅううっと抱きつかれた。
「寒い。寒いの……嫌…。」
「へ?……ああ?」
一瞬「俺を温めて」的なお色気を妄想したのはしょうがない。お年頃だもの。
でもさすがに、震え始めた体が本気で寒がってるだけだって現実を俺に知らせてくれた。
アルコールの代謝に、室温と革のソファーの冷たさが拍車をかけたんだろう。
「飲み過ぎだろ…」
なんとかして紡ぎ出した俺の声がちょっとくらい掠れてても、それはしょうがない。
お年頃だもの。
「……ん…」
その漏れる声に。
俺の股間が突っ張ってしまっても、それもしょうがない。
お年頃だもの。
「布団、とってきてやるよ」
この生殺しの状況に。
逃げを打っても、やっぱりしょうがない。
お年頃だもの。
「ううん…いい……このまま……だっこしてて…」
そんなことを言われて。
抱きしめてしまっても、もう、しょうがない。
だって。
好きなんだ。
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