離婚の弊害

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離婚の弊害

 絆の両親が、中三の時に離婚した。  それも結構な泥試合状態だったみたいだ。  原因は、おっちゃんの浮気。   駆け落ち同然の熱愛の末の結婚だったって、それがなんでかちょっと自慢気だった絆の傷は、かなり深かったんだと思う。  思うっていう曖昧な表現になるのは、俺はその時の絆を知らないからだ。  一緒にいたかったけど、でも、うちの親父と絆の親父がバンドメンバーってのがあって、で、母親への義理立てか、絆は頑なに俺と会おうとしなかった。  そして離婚が成立して、また会えるようになったときには、すっかり人が変わったみたいになってて、そんな姿に絆が足掻いた証を見た気がした。  真っ黒で艶のあった髪は茶色に染まり、耳にはいくつものピアス。 「チャラいな、おい」  思わず出た言葉に、絆は「反抗期っぽくね?」なんて笑ったけど。  見たことのない表情に、見たことのない仕草。  指先の動きや視線の一つ一つに零れるようなオトナの気配を感じて、いいようのない疎外感がこみ上げた。
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