春は来ない

理不尽な別れ

「それが、だよ。向こうの受験終わった頃、オンナが出来たからサヨナラだって言われた。二度と近寄るなくらいの勢いで、捨てられた。 納得いかなくて連絡とろうとしたらストーカー扱いされてさ。……ふざけんな、だろ？ 辛くて、苦しくて、何より情けなくて、もう、ボロボロだった。

　……あの人、ナマでヤるのが好きでさ。でも女とは生でできないから、だから、俺と付き合ってたんだってさ。
　でさ、よそでホモセックスされて、病気うつされたらかなわないから、俺が他の男とヤるの、許さなかったんだって。んなもん、女としたってうつる時はうつるっての。

　そんな感じのこと言われて、一人で抱えきれなくて、友達に、泣きついた。 あいつ……ね。すげえ仲良かった奴。 そしたら……好きだって。俺のこと。
　はあ？って感じだった。お前、俺の何聞いてたの？って。けど、『俺じゃダメか』なんて。ダメに決まってんだろって思ったけど、無理にキスされて……なんかもう、どうでもよくなった。

　それからあいつ、彼氏気取りでさ。そんなだから、周りにも変な感じで認知されて、まあまあ仲良かった奴に、アイツとイケたんなら、俺ともヤれるだろ？　って言って、のし掛かられたよ。

　もうなんかさ、笑うしかねえよな。
　そいつとも、あと、何人かとも、ヤった。ケツにハマって道外しゃいいって思ったし、童貞捨てたのが男ってのが、現実に目が覚めた時の、あいつらのトラウマになりゃいいと、思った。

　ほんと、春休みの最初なんて、補習に学校いってるんだか、セックスしに行ってるんだか、わかんないくらいだった。下手くそばっかで、俺はただ痛いばっかで、こっちがトラウマになるっての」

　友達なんていない、って言った絆の言葉の意味を思い知る。
　そりゃ……最悪だ。
　まあいやあ、俺が佐野にキスされたり、熊野に突っ込まれるってことだろ？
　学校の仲のいい奴らを浮かべて、思わず顔をしかめる。
　あいつらに虎視眈々とケツを狙われてる状態で、学校なんか行けるわけない。