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嘘つきとアバズレ
「んなこと言ったら、また俺、アバズレ呼ばわりされる」
「アバズレって……死語どころか、いっそ新しいな。つか、語源なんだよ」
「ふふ。そこ、俺もちょい気になってググった。人擦れして厚かましいのを意味する江戸時代の流行語って」
「古っ! ……って、ググるくらい余裕あんじゃねえかよ。ちょっとびっくりしたわ」
「すること、ないもん」
「……だから、 ”もん” じゃねえっての。行け! 学校に! 受験勉強できないくらい、自己嫌悪に苛ませてやれ!」
「……山登…性格悪い」
「はああ!? おまっ…! なんちゅうこというんだ。俺は当たり前のことを言ってるんだ! あれだ、あれ、『やられたらハムラビ法典だ!』だろ。絆を傷つけた分は、きっちり後悔させないと」
目を細めて小さく笑う絆から、やっぱり目が離せない。
どんな表情も見逃したくないと思うし、それでも笑顔が見たいと思う。
「……なんで山登…高校…落ちたんだよ……」
「え。それ聞くの? 答えるの? 俺? そんな単純な答え、ないくらい、ないんだけど」
わざと大げさに言っておどけてみせるけど、ホントは歯噛みするくらい、自分の頭の悪さに腹がたってる。
同じ高校なら、SPの如くピッタリついて離れるもんか。
けど、どんなに守ってやりたくたって学校は不可侵領域だから傍にはいられない。
だから諦めて流されるようなことをしないで自分の力で戦ってもらわないと。
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