はなっからの下心

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はなっからの下心

「学校のそいつらを友達だって思ってるから ”諦め” なきゃいけないんだ。そんなやつら、友達なんかじゃないんだから、端から無視だ。  なんかしかけてきたら、学校や親に言うって言え。学校辞めるつもりなら、それくらいできるだろ? ガツンとブッ込んでやれ。……孤立すんの、嫌か?」  絆はうつむいて、ふるふると横に頭を振った。  ふと、その髪の根元が黒いってことに気づく。  その地毛の部分が、クソ先輩から離れた時間なのかな? 「髪、プリンだぞ。なあ、髪もさ、黒に戻せよ。好きでやってんならいいけど、そうじゃないなら」  鏡をみて、髪の毛を見るたびに軽んじられた記憶を蘇らされるなんてことがあるのが、許せない。  絆の記憶に、少しでもあの男が残るのが、許せない。 「うん」 「友達ってのなら……俺がいる。カズも、樋口も。とにかく! 青瓢箪みたいな童貞野郎に二度と指一本触らすなよ? また同じことを繰り返したら本末転倒だからな」 「うん」  復学をけし掛けたことを後悔することなったら?  そうは思わないでもないけど、それでもこのまま逃げるのは、違うだろう。 「つかさ、そのでっかい目ぇに目薬でもさして、キチンと開けて見てみりゃ、学校だって、変態野郎ばっかじゃねえよ。あの鼻くそ野郎のせいで曇ってんだ。目も、心も。  オトコの為に髪染めて、ピアス開けて、周りとの距離とったお前に残ったのは、下心のある奴だけだったって話だろ」  いけしゃしゃあと。  言ってて恥ずかしいよな。  俺なんて、端っから下心ばっかなのに。 「……ゲス先輩のことは、さっさと吹っ切れ。つか、あの野郎、童貞の巣窟みたいなお前の学校でエラい悪どいな。おまえもさあ、二股なんてかけられてんなよ。あれだろ? トマの合格祝い買いに行った日、アクセサリー屋に、女といたの。……可愛かったっけな」  カマかけ。  俺はあのアクセサリー屋で個体を判別することはできなかった。  けど絆を知っていて、不細工なのと付き合うのは無理だろう。面食いに違いないんだ。 「ああ。聖廉女子の、去年の準ミス」  やっぱり。  聖廉女子は高校と大学が併設されたお嬢様学校で、高校・大学合わせての準ミスといえば、かなりの上玉。  あいつ凄いな。   絆とか、準ミスとか。   やっぱシンプルにむかつくわ。    
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