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準ミスへの接近
「ミス聖廉なんだってね。可愛いわけだ」
カズはカズだしキョウはあんな性格だけど、「事情があって準ミス聖廉と話がしたい」っていう真摯な俺の態度だけで、俺の指示どおりに動いてくれた。
他の大学生二人には、俺が準ミス狙いだと告げてあって、おかげで今、俺の横には準ミスが座ってる。
倉持百合ちゃん。
名に劣らず、色白で目の丸い、それこそモデル張りに可愛い子だった。
まあ、俺には絆の方が可愛いけど、さすがにそれは贔屓目が多分に入ってるだろってレベルの女の子。
「準ミスだけどね」
ちょっと拗ねてるのは、本来は合コンの中心になるはずの自分が、俺たちの策略によって隅っこに座らされて、俺以外の男から放置されてるせいだろう。
「俺、ミスの子見たけど、君の方が可愛かったよ、絶対」
見てないし、知らないけど。
でもそう言われて怒る準ミスはほぼいないってことを、俺は知ってる。
「えー、そんなことないよ」
そんなことアリアリの、控えめを装った笑顔。
本気で控えめな子は、脅されでもしない限りミスコンには出ないっていう姉ちゃんの言葉には、俺も同意だから。
自意識の高い女の子は、カヤの外にいる自分を客観的に許せない。
とはいえ放置されてるからって中座するなんてことはできないから、唯一話しかける俺と話すしかない。
まあ、背が高くてスタイルが良い、顔面中の上レベルの雰囲気イケメンだから、体裁は保てる。
───そんなとこかな。
「あるね。俺は知ってる」
心からの、あの絆の笑顔を真似てみる。
目を細めて、口角を上げて、下心なんて微塵も感じさせない、純真な笑顔を。
当然俺じゃあ、その魅力の3割にも近づけないけど、まあ、警戒心は解いてくれたようだ。
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