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晴天の霹靂
「腹括れっ、山登! 童貞とサヨナラバイバイだな! 感謝しろよぉ」
酒のせいか声の量調節が出来ない絆の内緒話は、すっかり2人のギャルに筒抜けになってた。
「ええー! ヤマP、さくらん坊!?」
耳からでっかいアクセサリーをはずしてたギャルズが、顔を見合わせてキャラキャラ笑う。
「ああぁ。なんか、ジュン、テンション上がってきたぁ」
「やーん! このチェリー好きっ」
……なんなんだろう。この状況は。
制服の俺らは酒飲めないってことになって、いっそカラオケできるし、酒の持ち込みもできるって流れで連れて来られた駅前の謎の貸部屋。
そこはテーブルをはさんで大きめのソファーが二つ置かれた、カラオケボックスとネカフェのミックスのような場所で、内側から施錠できるようになってるのが特徴的だ。
乾杯から始まって、4人でテレビゲームやカラオケをして、持ち込んだアルコールが底をついた頃。
なんか知らん、部屋の空気が怪しくなり始めた。
やたらスキンシップが多くて、その距離は間違いなくギャルの移り香が残るくらい。
こりゃなんだと冷静な自分が首を捻りだした時、すぐ真ん前、罰ゲームなんて名目で絆とノノちゃんとやらの濃厚なキスが始まったことで、急激に酔いは醒めた。
なのに、ねっとりとした口づけの後、ノノちゃんから移った口紅の色が絆の口角の外まで彩っているのに惑わされ、唾液のテカリを舐めとる様が酔いに潤んだ瞳と合わさって、とんでもなくイヤらしくて、そんな絆の色香に酔わされた。
「あれぇ? ヤマPジュニアがおっきしてるぅ。んん? ちゅー見て興奮したぁ?」
そんな声が、アルコールの匂いと一緒に耳に吹きつけられたと思った瞬間、確かに学生服のズボンを持ち上げたその部分に指が這わさる。
「ひゃ! ちょっと!?」
逃げるように腰を上げた俺の肩に、絆の手が掛けられ、そして発せられた言葉が、これ。
「ひゃっ、だって。かーわいー」
「腹括れっ、大登! 童貞とさよならバイバイだな!感謝しろよぉ」
「ええー! ヤマP、さくらん坊!?」
「ああぁ。なんか、ジュン、テンション上がってきたぁ」
「やーん! このチェリー好きっ」
「じゃあー、山登はジュンちゃんにお任せぇー。照明落とすねぇ。」
「なっ、ちょ、絆!?」
絆のキス顔で膨らみかけた下半身は、突然のことに萎みあがり、一連の流れについていけないまま、それでもあれよあれよとコトは進む。
急に暗くなった部屋に視界が奪われたものの、湿った音と息遣いで向かいのソファーで絆とノノちゃんがねちっこいキスを交わしてるってのがわかった。
「んー、山Pこっちっ」
薄闇に少し目が慣れそうになったとき、腕を引っ張られ、ソファーの上に引き倒された。
「んっ……んんっ…」
強引に押し付けられたのはジュンの唇で、ベタベタした感触と科学的な味に、女の子はいつもこんなもん唇につけて大変だなぁ、なんてことを思ってしまった。
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