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髪に触れた指先
「鍵しめといて」
黒髪になった絆は、なんだろ。
目眩がするくらい綺麗だった。
痩せた頬が絆の幼かった部分を削りとって、やたらと色気を増していて、目にした瞬間、その体を壁に押し当てて総てを奪いとってしまいたい衝動にかられたくらい。
「なんか、落ち着いてみえるな」
俺はとんでもなく浮き足立ってるけど。
ああ。やっぱり絆には黒髪が似合う。
雪の肌と赤い血の唇を引き立てるのは間違いなく黒い髪だ。
「すげ、痛んでる」
どさくさに紛れて髪に触れた指先に、それこそ有り得ないくらい意識が集中する。
髪でこんなって、どんなだよ。
キスもした相手。
けど、届かない相手。
「うるさいし」
俺の手を眼球だけ上に向けるように見た後、俺の手を払ってから、そのままその手を俺に差し出した。
「アイス」
「ん」
「よしよし。サンキュ」
ニコニコ笑って受け取ったアイスはバニラ味だ。
アイスの蓋を開けながら階段を登り始める絆の小さな尻。下から眺める俺の目がそこに向かうのは、致し方ない。
歯をたてて、おし○かじり○だよーん、とかって言ってみたら、どんな空気になるかな?
ま。せんけど。
……。
カンチョー!とかってのは?
……。
もう、見ないどこう。
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