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都合のいい男友達
「彼氏とはどこにデート行ってたの? はい。今浮かんだ場所行ってみて?」
「水族館」
「おぉー。いいねえ。クラゲコーナーとかの暗いの隅っこでちゅーとかした?」
「そっ……そんな、のっ」
「あれ? マジでしたの?」
「ばかっ」
百合とメールのやりとりを重ねるうちに直電するようになり、やがて直に会うようになった。
女の子だけじゃ行きにくいっていうご飯屋とか、ライブハウスとか。
最初は友達と。
そして今じゃ俺と、二人で。
そんな俺のカテゴリはあくまで、遠距離&失恋中の寂しい者同士ってお友達。
彼氏に言えない彼氏への愚痴を聞いてくれる、けど女友達とは種類の違う、都合のいい”男友達”。
「いーなぁ。なんか青春してんなぁ。で? 帰りは前の砂浜で追っかけっことかしたの?」
「してない」
「はは。それはしてないみたいだね。ほんとわかりやすっ」
この頃は、無邪気な百合と話すのが、楽しくて。
それでいて、苦しくなるんだ。
清澄への嫉妬で。
嬉しそうに清澄とのデートを話す百合の言葉に、身悶えしそうになるんだ。
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