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残念なファーストキス
「……ぁ…ぅん…きーくん…はぁ」
「…は……ぁ…」
一つの部屋で4人がおっぱじめるっていう異常。
キスさえ知らなかった俺。
自分の口の中に、自分の意志とは無関係で動き回るものあるってのは人生初で、それはあまりにも衝撃的っつうか、気色悪いっつうか…。
歯の間から割って入った舌には奇妙な感じしか受けなくて、それこそ気持ちいいなんて感覚はサラサラなくて、ネロネロと舌を突っ込まれて感じる得体の知れない感覚は、ほんと、微妙。
ヌメッとしたもんの踊り食いって感じ?
ファーストキスに抱いてた甘い幻想はとっととぶち破られてしまった。
とは言え、ジュンによる行為はサクサクと進められ、キスをしてる間にも俺の手はジュンの胸へと誘われる。
「触って」
唇を合わせたまま、ジュンが俺の手をとって、ボタンを外したシャツの合わせ目から、その胸にあてた。
わっっ!
なんじゃ、これっ! こ、こ、これ、オッパイ…気持ちいい…。 つきたての餅?いや、違うな……なんだろ、マシュマロ?
ずっと触っとけるわ、これ。
しかし、それはあくまで手触りの話であって、今進められてる行為に欲情してるかと言われりゃそうじゃなくて、なんたって童貞の俺がだよ?机挟んだだけの向こう側で絡んでる奴らがいて、そいつらの出すチュパチュパいう音を聞いてだよ?いや、しかも片っぽは初恋の相手なわけだよ?
初恋の相手が女を喘がせてる場に居合わすってのは……。
恨むぞ、絆。
このまま勃たなかったら、いい笑いもんじゃねえか。
恨めしい気持ちを込め、チラと、それを視界に捉えたとたん、何の兆しもなかった俺の股間が、急に先生に当てられた生徒よろしく立ち上がる。
薄い闇の中、さっきまでテーブルに隠れてた絆の姿がはっきりと見えて、目があったと気づいた瞬間だった。
ヤバ、い……だろ。
それは、思わず息を飲むほどにも扇情的な光景で、グッと息苦しさを覚えるほどの欲を俺に与えた。
絆の近くには絞った照明があって、その上肌が白いから、本人が発光してるみたいに薄闇の中でも絆の表情が見てとれる。
きつく眉を寄せ、口を半開きにして、そこから荒い呼吸をはきだし、色のついた熱っぽい瞳は、まるで、誘ってるみたいで……。
「……っ!?」
股間に刺激を感じて、視線を近くに戻せば、俺にのしかかってたジュンが、俺のモノを手の中に納めていた。
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